疥癬(かいせん)

 疥癬(かいせん)とは、ヒゼンダニというダニの仲間が皮膚の下に寄生することで生じる激しいかゆみと皮膚症状(ブツブツがたくさんできる)をいいます。もともとは性感染症でしたが、近年、高齢者とその介護者にも発症が増えています。

[症状]
 疥癬(かいせん)では、激しいかゆみと赤いブツブツ(米粒ぐらいの大きさ)が首から下の全身にでてきます。かゆみは夜中にひどくなる傾向があり、ヒゼンダニのメスが皮下にトンネルを掘ると、トンネルの形に沿ってミミズ腫れのようなものが出現します。このダニは、特に性器や手足の指の間、へその周り、太ももの内側、わきの下などを好んで住み着きます。したがって、かゆみが強く出る場所もそのような場所になってきます。

[原因]
 ヒゼンダニという体長0.3mm程(肉眼では見えません)のダニの仲間に感染することで疥癬(かいせん)は発症します。このダニの感染率は非常に高いとされています。あるデータによると、汚れた畳の部屋に寝た29人のうち23人もの人が疥癬になった、と報告されています。 このダニのメスは交尾した後、人の皮膚の角質層というところにトンネルを掘り、そこに卵を産み付けます。その後、一週間ほどで卵がかえります。幼虫やオスは皮膚の表面をウロウロし、再びメスと交尾して、メスは人間の皮膚をガリガリ掘り進んでいくことを繰り返します。
 感染した人との密接な接触、性行為、寝具や衣服の共有で感染します。最近では、干したり洗濯していない布団に長時間寝ている高齢者やその介護者も発症が目立っています。

[治療]
 まずは感染しないように清潔を心がけるのが第一ですが、感染してしまった場合は入浴後に軟膏(クロタミトン軟膏・硫黄サリチル酸チマントール軟膏など)を全身に塗ります。寝具や衣服に殺虫剤を散布し、その後丁寧に洗濯します。このように、全身の治療と生活環境の駆虫を同時に行わないと、ヒゼンダニ感染の悪循環は断ち切れないのです。

[受診科]
 皮膚科

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